2011-5-7 ゲリー・カーの思い出
無言歌集 メンデルスゾーン作曲 ゲリー・カーのコントラバスで CD
メンデルスゾーン(1809〜1847)は、歌のない歌、無言歌と呼ばれる、たくさんのピアノ小品曲を作曲しています。
本来は旋律楽器でないピアノの左手の伴奏に右手でメロディを歌のように歌わせて、まるで歌曲を聴くようです。
ゲリー・カーのCDには、ピアノ・ソロ曲として作曲された48曲中16曲の無言歌と、
チェロとピアノのために作曲された無言歌1曲が収録されています。
音域的に人の声に近いコントラバスにメロディラインを託したことで、メンデルスゾーンの音楽性を
浮き彫りにすることが出来たように思うと、ゲリー・カーも言っています。
コントラバスは、オーケストラの低音域を受け持つ、どちらかといえば目立たない楽器ですが、
名手ゲリー・カーによって、この楽器の持つイメージは一変しましたね。
ヴァイオリンやチェロのために作られた曲も、カーのアレンジと演奏でレパートリーが随分増えました。
最近では、コントラバスのソロ奏者も多く、独奏やピアノとのデュオの演奏会も盛んに開かれています。
3年ほど前、神戸女学院のアウトリーチのコンサートにゲリー・カーが出演するというので
2月の寒い時期でしたが、三田から主人と二人で聴きに行きました。
ジョスランの子守唄やアルビノーニのアダージョのレコードジャケットのあごひげの濃い青年は
すっかり白髪の素敵な老紳士になっていました。
知らないうちに経った年月に私達は驚きましたが、暖かいコントラバスの音色に変わりはありませんでした。
そして、カーが、ユーモアのセンスのある明るい性格の人だったことを知って嬉しかったことも、懐かしい思い出です。