hoop-photolife

四季の移り替りを身近な草花や風景の写真で綴ります。

2011-6-8 蛍

勢田の蛍見 二句

闇の夜や 子供泣き出す 蛍舟   凡兆

蛍見や 船頭酔て おぼつかな   芭蕉  


去来、凡兆編の「猿蓑」に夏の部の句として所収されています。ともに元禄三年に詠まれたものです。

前書きに「勢田の蛍見二句」とあるように、滋賀県大津市、琵琶湖の南端から瀬田川へ流れ出す辺りは

蛍の名所で、当時、蛍見物が、夏の風物詩であったようです。

人々は、夕刻から蛍見物に出かけ、あるいは、蛍を買い求め、蚊帳の中に入れたり、庭に放したりして

点滅する幽かな光を愉しんでいました。

王朝の平安時代から、桜や紅葉と並んで、もののあわれの代表格であり、風雅の対象であった蛍ですが、

芭蕉と凡兆は、蛍見物に俳諧の世界を、見事に詠み込んでいます。

ところで、昨今、ちょっとした蛍ブームですね、

残念ながら、芭蕉さんの時代のように、蛍の名所というほどのところは、ありませんが、

田舎では、まだあちらこちらで蛍を、見かけるようです。ニュースで取り上げられたりしています。

わたしの住む三田でも、蛍の所在情報が、今盛んに飛び交っています。まだまだ自然豊かな田舎ですから。

昔、旧市街地を流れる武庫川にかかる車瀬橋は、摂津名所図会に載るほど、蛍の名所だったそうです。

写真をする人たちは、今年こそいいショットをとフイルムやレンズを揃えたりして、熱心に準備しています。

子供にも蛍を見せて、自然観察をさせたい親御さんもおられます。
市民グループで、蛍の保護運動をしている方達もおられ、関わりもさまざまです

私は、梅雨のこの頃になると、季節を感じながら、詩的な風情を感じていたいので、
蛍見物も出来るだけ周囲の景色のよいところがいいと思っています。
田んぼの用水路では、雰囲気が出ませんね。

芭蕉さんのように、小舟を浮かべて、ゆったりと蛍の飛び交うのを楽しめれば最高なんですが、、、(*^。^*)