2011-10-24 白洲正子 古典の細道
新潮選書の中の「古典の細道」という白洲正子さんの著書
古典人の辿った小徑を歩き、日本人の心の在り処をさぐる という副題が付いています、
倭建命、在原業平、小野小町、建礼門院、平維盛,花山院、世阿弥、蝉丸、
各地に伝わる伝承と、古典文学、史実を巧みに練り上げ、
日本人の精神史を掘り下げた力作です。
「西国巡礼の祖」の章、冒頭と最後に、幽閉という形で悲劇の花山法王が
晩年を過ごされた花山院について書かれた一文があります。
三田(兵庫県)の「花山院」は、実に静かな景色のいい寺で、様々の哀れな物語を伝えていた。
三田富士を借景に瀬戸内海まで見はるかす庭のたたずまいは、院の風雅を語って、あます所がない。、、、
高い山の上に建つ花山院は、時に雲海が漂い、遠くは瀬戸内海、北摂の山々、武庫川を、望むことが出来ます。
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 蝉丸
白洲さんの本の裏表紙の帯に、蝉丸の歌が記されていました。
この歌にも、花山院について書かれた白州さんの文章にも、偶然出会いました。
五十路半ばを過ぎ、人との出会いや別れの多い最近の私です。人生全てが逢坂の関なのでしょうね〜